VDT症候群について
VDTとは、Visual Display Terminalの略です。近年、コンピューターの端末に向かって仕事をする人が増えています。長時間、VDTに向かって仕事をすることは首、肩、背中、腰の筋肉や目の疲労の原因となります。そのような症状をVDT症候群といいます。
VDT症候群を防ぐには、連続して1時間以上コンピューターに向かわない、休憩を10〜15分はとるようにし、休憩時間には背伸びをしたり、腕や首を回して筋肉をほぐすようにすることなどが勧められています。さらに大切なのが、作業環境です。それには、椅子の高さ、机の高さ、キーボードの位置、ディスプレイの位置、原稿の位置、部屋の明るさなどが関係してきます。
図にポイントを示します。ポイントを順に解説します。
(1)部屋の照明:部屋は明るい方がよいのですが、ディスプレーに直接当たる照明が明るすぎてはかえって目が疲れます。ディスプレーに当たる照度は500ルクス以下、原稿やキーボードに当たる照度は300ルクス以上がよいとされています。ディスプレーに光が反射せず、ディスプレーと原稿、キーボードの明るさが同じになるくらいがよいということです。その方が目の疲れが少ないとされているからです。
また、ディスプレーに光が反射しないよう、間接照明を使うとか、ディスプレーに反射防止のシールを貼るなど工夫をしましょう。
(2)いす:いすは、深く腰掛けられて、背もたれが十分にあって、足の裏全体が床に付く高さがよいとされています。そのためには適宜足台を使うことが勧められています。37〜43センチが目安とされています。また、椅子と膝の裏とには指が入る程度のすき間があって、ふとももが圧迫されないようにするのがよいとも言われています。
(3)机:床からの高さは65〜70センチがよいとされています。机の高さを調節できる場合は、椅子の高さを合わせてから、後述するようなディスプレー、キーボードの高さが合うように机の高さを決めるのがよいといわれています。
(4)ディスプレー:目とキーボード、原稿との距離をほぼ同じにすることがよいので、目とディスプレーの距離は40センチ以上がよいとされています。ディスプレーの高さは、ディスプレーの上端が、ほぼ目の高さか、やや下になるのがよいとされています。つまりディスプレー全体は目の高さより下がよいということです。
ディスプレーと、キーボード、原稿が適切な視野範囲内におさまっていることも大切です。
文字の大きさは、視角で適正値が表されています。単位は分で、1分は1°の60分の一です。英数文字では16分以上、20〜22分程度がよく、漢字では20分以上、25から35分程度がよいとされています。ディスプレーまでの距離が50センチの場合、20分は約2.9mmとなります。フォントサイズの何ポイントというのはディスプレーのサイズや表示画面の設定で変わってしまうので一概には言えませんが、私が試した15インチディスプレーのPowerBook G4の場合、ワードの表示を100%にした場合では12ポイントでした。
このような作業環境を整え、休憩をとりながら仕事を続けてください。
<参考文献>
厚生労働省、VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン
産業医の職務Q&A 産業医学振興財団