白米の食べ過ぎは糖尿病のリスク?

糖尿病や糖尿病の予備軍の人が増えているといわれています。その要因はいろいろ指摘されています。以前に比べ、運動量が全体に減っていること、動物性脂肪の多い食事をとるようになったことなどが指摘されています。それらの要因により、肥満になり、特に、内蔵脂肪が増えることが糖尿病発症の大きな引き金になると考えられています。

興味深いタイトルの論文を見つけました。白米のとりすぎが糖尿病発症のリスクになるのではないか、というものです。British Medical Journal 2012316日号に掲載された論文です。論文の著者等は、20121月までに報告された、白米の摂取と糖尿病発症との関連を扱った論文のデータを集め、メタアナリシスという方法で解析し直しました。352,383名を4年〜22年間追跡調査した結果、13,284人の糖尿病発症を認めたという結果になり、その中で、白米の摂取量がどの程度影響していたかを解析したのです。その結果、白米を最も多く摂取する群では、最も少ない群に比べて相対危険度が1.55だった、というものでした。特に、中国人、日本人などアジア系で、その傾向は顕著だったのです。つまり、白米をたくさん食べるアジア人は糖尿病になりやすい、という結果です。糖尿病の発症が増えるのは、白米をどのくらい多く摂取していた場合なのかが気になるところです。論文の中で掲載されているグラフから読みとると、相対危険度が1.5となるのはご飯を一日700g(炊いた状態で)前後食べている人たちとなります。牛丼並盛りのご飯の量は約260グラムだそうです。ですから、毎日、どんぶり飯を3杯弱食べていると、糖尿病発症のリスクが高まる、ということになります。かなり多くとっている人たちといえそうですから、白米がいけないのではなくて、食べ過ぎがいけないなのではないかと思います。

最近は、掲載論文に対して、読者からの意見がネット上に公開されているのですが、この論文に対しては様々な意見があり、白米の摂取量だけで肥満について検討していないのはいかがなものか、つまり、米をたくさん食べている人は肥満の人が多く、そのため、糖尿病の人が多い、というだけのことではないか、という意見も出ており、私もその通りだと思います。確かに、玄米に比べ、白米はでんぷんが主成分で、グライセミックインデックスも高いといわれています。グライセミックインデックスというのは、その食品をとった後、血糖値の上がりやすさに相当します。玄米のそれは41に対して白米は64といわれています。そういう観点から、白米のとりすぎは糖尿病発症と関連があるのではないかと推測されます。(ちなみに、同じ白米でもコシヒカリのグライセミックインデックスは48というデータもあるようです。)しかし、同じ肥満度の人について白米の摂取量が多いか少ないかで比較した訳ではないので、白米が悪いとは結論づけられないでしょう。

論文のタイトルにはっとさせられましたが、冷静に読んでみると、相当食べ過ぎている場合であって、普通に軽く一膳食べているのであれば、白米が悪いとはいえないのではないかと思います。

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