高齢者における食物繊維の心血管系疾患予防効果

食物繊維が体によいことはよく知られています。便秘の予防、コレステロールの低下、血圧の低下、血糖値の低下など様々な効果が知られています。これらの効果は生活習慣病の治療上重要な効果であり、生活習慣病予防の中でも、食事療法において重要な位置を占めています。”生活習慣病予防”というと、比較的若い人を対象としたことのように思われがちですが、今回紹介する論文では高齢者でも食物繊維をたくさんとるようにすると心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)を減らすことができるというものです(Journal of American Medical Association 2003年4月2日号、vol 289, p1659-1666)。

対象となったのは65歳以上のアメリカ人3588人です。1989年から2000年にかけて調査が行われました。食事内容について詳細な調査を行い、食物繊維の摂取量と脳血管疾患の発症とのの関係を調べています。

この調査期間に811人に心血管疾患が起きています。結果としては、食物繊維の摂取量が多い人は脳血管疾患の発症率が、21%低かったというデータがでています。食物繊維は、様々な食材からとることができます。主に、野菜、果物、穀物からとることができるのですが、この研究では、特に、穀物から食物繊維をとった方がより心血管疾患予防効果が高いという結果が出ています。すなわち、ライ麦パン、コーンフレーク、オートミールなどがよいという結果となっています。

この研究結果の重要な点は2つあると思います。

この研究の中で、予防効果が認められた食物繊維の摂取量は、穀物から6g、果物から8g、野菜から10g以上です。このくらいの食物繊維をとる習慣をつけていると心血管疾患を予防できる可能性が高い、ということになります。

今の食生活より2gの食物繊維を多く摂る工夫をしてみてはいかがでしょうか。食物繊維2gをとるための食材の目安量は当院の第5回健康講座のページ(こちら)をご参照下さい。

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