緑茶の効果

緑茶が健康によいことはよく指摘されることです。これまでにも数千人規模の調査で、緑茶をたくさん飲む人ほど心血管系疾患や脳卒中による死亡率が低いことが報告されていましたが、今回、東北大学のグループが行った研究では、さらに大規模の調査を行い、緑茶を飲む量と心血管系疾患、がんによる死亡率との関係を検討し、発表しました。

Journal of American Medical Association 9月13日号(JAMA. 2006; 296: 1255- 1265)に掲載されたものです。テレビのニュースでも取り上げられていましたので、ごらんになった方もいらっしゃるかもしれませんね。

研究は、1994年から40歳〜79歳の男女、40530名を追跡調査したものです。緑茶の消費量と、2005年までの11年間の全死亡原因との関係、2001年までの7年間の特定の死亡原因との関係について検討しています。11年の調査期間中に4209名が亡くなっており、7年間の調査期間中に892人が心血管系疾患で、1134人ががんで亡くなっていました。

お茶の消費量は、一日1杯以下、1〜2杯、3〜4杯、5杯以上の4段階に分けています。男性の全死亡原因については、一日1杯以下の人の死亡率を1.00とすると、1〜2杯の人は0.93、3〜4杯の人は0.95、5杯以上の人は0.88であり、緑茶の摂取量が多いほど死亡率が低くなる傾向が認められました。女性では同様に1.00, 0.98, 0.82, 0.77と緑茶の摂取量が多いほど死亡率が低くなる傾向がより強く現れました。さらに、心血管系疾患系の女性の死亡率では、それぞれ1.00, 0.84, 0.69, 0.69とやはり、死亡率が低くなる傾向が認められました。しかし、がんではそれほどはっきりした、緑茶の摂取量との相関関係は認めませんでした。

別な言い方をすると、緑茶を一日5杯以上飲むことが、全死亡原因を16%減らすことに、心血管系疾患による死亡を26%減らすことにつながった。ということができるそうです。

過去の報告では、脳卒中による死亡に限ってみても、緑茶の摂取量が多いほど脳卒中による死亡率が下がるという結果が報告されています。

がんについては緑茶の効果は認められなかったということになりますが、胃がんとの関係でも、緑茶の摂取量はあまり相関しないことが報告されています(このホームページでも以前ご紹介しました、こちらをどうぞ)。

緑茶が心血管系疾患に対してよい効果があった理由として、緑茶に含まれるポリフェノールがよいのではないかということが推察されています。論文の著者らは、ウーロン茶、紅茶の摂取量では、緑茶の摂取量のような関係は認められなかったと述べています。コーヒーにはあまりそのような効果はないようです。

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