インフルエンザ対策

インフルエンザ流行の時期が近づいてるようです。インフルエンザの予防、症状の特徴、診断、治療について解説しましょう。

予防:体力の保持、栄養が大切です。流行時期には睡眠、栄養バランスに気を配りましょう。

湿度を保つことと換気も大切です。インフルエンザウイルスは湿気に弱いので加湿器で室内を加湿することも予防に役立ちます。また、時々室内の空気も入れ換えましょう。

マスク:マスクでは完全なウイルスの侵入は防げませんが、減らすことはでき、予防効果は期待できます。

うがい:うがいの効果については当ホームページの健康ひとくちメモのコーナー(こちら)でも紹介しています。また、ポピドンヨードうがい液で、インフルエンザウイルスは15秒以内に不活化されるといわれています。また、実際にインフルエンザ流行期に学童にポピドンヨードによるうがいをさせ、インフルエンザ罹患率が減ったという報告もあります(栗村敬、総合臨床、49(2):259ー260、2000)。

インフルエンザの症状

インフルエンザは風邪とよく似た症状を示します。悪寒(さむけ)とそれに続く発熱、全身の関節痛、だるさ、などが1〜3日のうちに起こります。ふつうの風邪では、熱は出てもそれほど高熱ではありませんし、経過ももう少し長くかかるのがふつうです。鼻水、咽頭痛、咳なども伴います。

診断

診断は、症状と診察所見、それから、インフルエンザの流行状況などから診断します。さらに、最近ではインフルエンザウイルスを検出するキットが開発され、30分程度で結果が得られます。つまり外来の待ち時間内にインフルエンザかどうか確認できます。検査感度には多少問題はあります(インフルエンザウイルスが陽性でも、検査では陰性と出てしまう可能性が少なからずあります)が、インフルエンザの診断根拠には十分なります。当院でも用意しています。

一般的治療

十分な安静と水分補給。ウイルスに対する抵抗力を高め、発熱による水分を補うために大切です。また、痰を出しやすくするためにも水分の補給が大切です。

他人への感染を減らす為にもマスクをつけることも大切です。痰を出しやすくするための室内の加湿も重要です。

痰の量が増えたり、黄色く、ねばっこい痰に変わったり、息苦しさ、けいれん、しびれ、水分がとれない、など状態では肺炎や脳症などの合併症、脱水などの可能性がありますので医師の診断を受けてください。

インフルエンザの治療薬

現在、3種類のインフルエンザウイルス治療薬があります。それぞれ特徴があります。

アマンタジン(シンメトレル):ウイルスが細胞に侵入した際に、ウイルス蛋白に結合し、ウイルスの増殖を抑えます。日本ではもともとパーキンソン病という神経の病気の治療薬として使われていた薬ですが、1998年からインフルエンザにも使用が認められました。インフルエンザA型にのみ有効でB型には効きません。発病早期48時間以内に投与することが必要です。

副作用として軽度の消化器症状、眠気があります。耐性ウイルスが出現するということもいわれております。

ノイラミニダーゼ阻害剤:ウイルスが侵入した細胞から増殖して遊離してくるのを抑えます。インフルエンザウイルス表面のノイラミニダーゼという酵素を抑えることによってそのような作用を発揮します。この薬剤は、ノイラミニダーゼをコンピュータグラフィックで解析して作られたという点でも画期的な薬剤です。

インフルエンザAB両方に対して有効です。これらの薬剤も、発病早期48時間以内に投与することが必要です。また、耐性ウイルスは生じにくいといわれています。いずれも投与期間は5日間です。

吸入のザナミビル(リレンザ)、内服のオセルタミビル(タミフル)があります。

副作用:ザナミビルでは吸入薬であるという点でほとんど副作用はありませんが、喘息の患者さんには使いにくいといわれています(発作を誘発する可能性があるので)。オセルタミビルでは軽度の吐き気が出現することがあるといわれています。

当院では、アマンタジン、タミフルの2剤を採用しております。

うがい、室内の加湿と換気などの予防をしっかり行い、もし怪しいと思ったら早めに受診しましょう。

ホームへ