高血圧

血圧が高いとどうしてよくないのでしょう?

子供の頃は高くないのに、年をとるとどうして血圧が高くなるのでしょう?

治療は?

どこまで下げたらいいんでしょう?

薬は一生飲み続けるんでしょうか?


血圧が高いということは?年をとると血圧は上がる?

高血圧は、血管という管の中を流れる血液の圧力が高い状態です。つまり、血管がはち切れそうになった、極端な言い方をすると、パンパンに張った状態です。年をとると、血管は硬くなってきます。硬くなったホースのようです。血液が勢いよく流れてきても、血管が柔らかければ圧が上がってはち切れることはありません。でも、血管が硬いと、血管にかかる圧が上がってしまいます。そうなると、血液を押し出す心臓にも負担がかかりますし、血管自体は破裂を防ぐためにさらに硬くなってしまい、時には破裂して出血の原因にもなります。


高血圧と食塩の関係はよく知られています。ブラジルのインディアンで塩を全くとらない民族があります。彼らの中には高血圧は全くいません。しかし、彼らが塩分の多い食事をとるようになると高血圧が増えてくることもわかっています。日本人は塩をよくとります。日本人には高血圧が多いです。塩は体に必要ですが、とりすぎれば尿に排泄されます。尿に大量の塩を排泄するためには腎臓ががんばらなければなりません。腎臓が血液から沢山の塩分を尿中に絞り出すためには、腎臓の血管の圧が高いことが必要です。このような状態を長年続けていることによって、年とともに高血圧となっていくのです。


血圧には、上(収縮期血圧)と下(拡張期血圧)があります。

上が140以上、または、下が90以上あれば、高血圧と診断されます。健康診断などで、高血圧と診断されたら、早めの治療を受けましょう。

白衣高血圧という言葉があります。病院に行って医者の白衣を診ると緊張して血圧が上がってしまうことをさします。病院の待合室で長時間待たされることも影響するのでしょう。ですから、自宅で血圧を測っておくことをおすすめします。

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治療は?

治療の第1は、食事療法です。薬を使っていても、食事療法が必要です。

食事療法では、塩分を控えましょう。

塩分は一日6〜8グラムに抑えましょう。ところが、日本人の食事では塩分は多くなりがちです。十分気をつけましょう。

外食では、ちょっとした工夫が必要です。うまく残すことが大切です。作ってくれた人に悪いとは言ってられません。

@和食:漬け物、佃煮、汁物は残す。しょうゆ、ソースは控えめに。

A中華:どのメニューも塩分過剰です。量を抑えましょう。スープ、ザーサイは残す。

治療の第2は運動療法です。運動直後は血圧は上がりますが、運動を続けることによって徐々に血圧は下がってきます。運動で血圧は、上が11、下が6くらい下がると言われています。どんな運動がいいかというと、決してハードなトレーニングは必要なく、ニコニコペースといわれるような、終わってもニコニコしていられる程度の運動でよいのです。少し早足で、腕も大きく振って散歩を20〜30分程度がよいです。それを週3日から毎日続けるのがよいでしょう。運動によって作られる筋肉のアデノシンが血圧を下げるといわれていますので、できるだけ筋肉量の多い部分を動かすのがよいのです。ですから、太股、お尻、腕の筋肉を使う、早足で腕を振った散歩がいいのです。もちろん、サイクリングや水泳も効果的です。

次に、薬物療法です。高血圧の薬はいくつか種類があり、患者さんの状態に応じて使い分けられます。

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では、どこまで下げたらいいんでしょう?

薬は一生飲み続けるんでしょうか?

高血圧治療の目的は、それによって起きてくる合併症、つまり脳血管障害(脳内出血や脳梗塞)、心不全を防ぐことにあります。

治療の目標は患者さんの年齢や基礎疾患によって違います。糖尿病患者では130/80以下、若年・中年患者では130/85以下、高齢者(65歳以上)では140/90以下、ただし75歳以上で治療前の血圧が高い場合は、暫定的に150/90以下を目標に下げ、最終的には140/90以下を目標にするとなっています。

それは、このくらいまで下げることによって、高血圧の合併症が防げるというデータがあるからなのです。

そのためには、薬をいくつか併用してもよいと、されています。薬は少ないに越したことはありませんが、高い血圧をいつまでも放置しておくのはよくありません。また、2種類の降圧剤をともに少量ずつ併用することにより、相乗効果が得られ、副作用も少なくて済むというデータもあり、患者さんによっては2種類、あるいは3種類の降圧剤併用が好ましい場合もあります。しっかり治療しましょう。

では、いつまで続けるのでしょうか?

先程も述べたように、食事と、運動で血圧はかなり下がります。ですから、食事、運動の効果が出てくると薬がいらなくなってくることもあります。そうなれば薬は必要ありません。しかし、血圧の管理は必要ですので、血圧測定は続けて下さい。

でも、体質的に血圧が下がりにくい人もいます。その場合は、治療は長くかかります。根気よく治療を続けましょう。

(2004年12月改訂)

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