携帯電話と脳腫瘍の関係、第2弾

携帯電話の使用と脳腫瘍の発生に関連があるかということは以前からよく検討されていて、このホームページ上でも紹介したことがありました(こちら)。その議論はまだ続いています。今回紹介する論文は、脳腫瘍の中でもグリオーマという悪性度の高い脳腫瘍について、症例数も今まで以上に多い検討です。

British Medical Journal 4月21日号(2006, 33: 883-886)に掲載されました。

2000年12月から2004年2月までに診断された、18歳〜69歳のグリオーマの患者さん966名と、対照者1716名について検討したものです。携帯電話を初めて使ったのはいつか、何年間使ったか、累計通話回数、通話時間などについて聞き取り調査を行い、グリオーマ発生との関連を検討しています。結論は、携帯電話の使用とグリオーマの発生には関連性は認められなかった、ということでした。ごく一部の報告で脳腫瘍の発生と携帯電話の使用との関連が示唆されたことがありますが、それ以後は、同様の検討を行っても関連は認められなかった、というのが多くの報告の結論です。ただ、論説でも述べられているように、悪性腫瘍の潜伏期間を考慮すると観察期間はもっと長くしないと、結論は見いだせないかもしれない、という意見もあります。

論説では最後にこう述べています、携帯電話がもっとも危険なのは、運転中の通話で、統計的にはハンズフリーにしていても事故の発生が高くなることがわかっていて(このホームページでも以前紹介しました、こちらをどうぞ)、それこそ注意するべきだ、と。なるほど、脳腫瘍になる危険性よりこっちの方がはるかに問題は大きいかもしれません。イギリスも日本と同じで、運転中に携帯を持って通話するのは罰せられますが、イヤホンなどハンズフリーであれば罰せられないというのが現実で、危険性の点では理屈にあわないと論説でも述べられています。確かに、運転中の通話は、運転への神経の集中を鈍らせる傾向があるように思います。これは同乗者と会話するのとはちょっと違うように思います。運転中は携帯を切っておくのがベストなのでしょう。

  脳腫瘍と携帯電話の関係については、あまり神経質になることはないのかもしれませんが、結論についてはさらに今後の研究の成果を待ちたいと思います。

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