睡眠と朝食はなぜ大切か

最近は、睡眠不足や朝ご飯を食べない小学生が多いという話を聞きました。特に成長期は、睡眠と朝食は大切なものです。今回は、成長期の睡眠、朝食をとることの大切さについて解説します。

睡眠について

成長と睡眠はとても深い関係があります

古くから“寝る子は育つ”といわれていますが、そのわけは、成長ホルモンにあります。というのは、成長ホルモンは睡眠中に分泌されるからなのです。

成長ホルモンは脳下垂体というところから分泌されますが、常に一定量分泌されているのではなく、分泌が高まるときがあります。それには主に2つあって、一つは運動後、もう一つは睡眠中なのです。運動後約3時間ほどの間、成長ホルモンの分泌が盛んになります。夜間の睡眠中、成長ホルモンは盛んに分泌され、それは一日のうちで最も筋肉が作られている時間となるのです。

また、成長ホルモンは成長期の骨の形成にも重要です。

成長ホルモンが直接骨に働き、また、肝臓に働いて、そこから分泌されるソマトメジンという物質が骨に働いて、骨を強く、成長させるのです。

中年以降に問題となる骨粗鬆症も、実は、成長期の骨量が影響します。

というのは、人の骨というのは、成長期にもっとも増え、その後は低下していきます。あるレベル以下まで低下してしまうと、骨粗鬆症となります。早くから骨粗鬆症となってしまう原因として、一つは、成長期以後の骨量低下のスピードが速い場合で、女性の閉経後や運動不足、カルシウム不足が関係します。もう一つは、成長期に十分骨が作られなかった場合が挙げられます。つまり、成長期に十分な骨を作っておかないと早くから骨粗鬆症となってしまう可能性があるのです(骨粗鬆症については第12回健康講座のページも参考にしてください)。

ということは、科学的に分析したデータ(骨粗鬆症になった人について、成長期の睡眠時間を調べて比較したデータ)はないかも知れませんが、成長期に寝不足をしていると、成長ホルモンの分泌が少なくなって、しっかりした骨が作られないという可能性があるといえると思います。

また、余談ですが、2002年ワールドカップサッカーで、日本代表チームはベスト16に入る大活躍をしましたが、これからの課題の一つとして、”フィジカル面の強化”がいわれています。強いからだは、強い骨と筋肉からつくられます。成長ホルモンの分泌の点からも、よく運動し、よく寝ることが骨と筋肉を強くし、強いからだをつくり、サッカ−もうまくなることにつながります。

このページを書いていましたら、ちょうど2002年7月11日の読売新聞生活面に“夜ふかし なくすには 朝 遊ばせる”というタイトルの記事が載っていました。自律神経の発達の面からも朝型にするのがよく、そのためには、朝の光を浴びて、朝食前に散歩をするといったことを勧めています。

朝食について

朝食は便秘の予防に重要です。

食べたものは腸の中を動き、便となって出るわけですが、その腸の動きを刺激するのが朝食をとることなのです。

上図のように、朝、食事をして胃がふくらむと、腸が動き出します。こらは胃結腸反射と呼ばれています。その動きで便は直腸(出口)まで進みます。直腸がふくらむと便意を催します。そこでトイレに行くとちゃんと便が出る仕組みになっています。

ですから、朝ご飯をしっかり食べて、トイレに行く時間をちゃんととることが、便秘を防ぐ上でとても大切なのです。

では、便秘になるとどんな害があるでしょうか。

便秘の及ぼす影響

たかが便秘と軽く考えずに、便秘にならない生活習慣をつけましょう(便秘の治療のページも参考にしてください)。

まとめ

(以上は、2002年7月5日、上福岡市立福岡小学校学校保健委員会で発表したものをまとめたものです)

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