タバコについて、小学生に知っておいてほしいこと

タバコは健康に及ぼす影響が大きく、しかも、一度吸い始めて習慣性になってしまうとやめられないものです。これから大人になる小学生の皆さんには、タバコの害を知ってもらい、喫煙習慣をつけるようなことのないようにしてほしいと思います。

タバコの健康に及ぼす影響はたくさんあります。

タバコはなぜやめられないか

タバコの作用は、タバコに含まれるニコチンの作用です。ニコチンには鎮静作用と興奮作用があるといわれています(参考文献2)。つまり、イライラしているときは気持ちを静め、眠くなると目を覚ましてくれる作用があるといわれています。しかし、その身体的作用はそれほど強いものではなく、たとえば、緊張して上がっていた心拍数が下がるとか、1本のタバコで眠気が解消するといったものではありません。ある科学者は、本当はそんな作用はなく、喫煙者がみんなそう思いこんでいるだけで、ニコチン中毒のあらわれに他ならないとも指摘しています(参考文献3)。

喫煙が習慣化していく過程

喫煙習慣は薬物中毒と同じ?

薬物中毒との共通点

このように、喫煙は、麻薬や覚醒剤などの薬物中毒となんら変わるところはありません。ただ、健康被害の種類が異なり、健康被害が出るまでの時間が長く、薬物より手に入りやすいという点が異なるだけです。

ですから、子供たちには、タバコに手を出すことなく、喫煙習慣をつけないようにしてほしいと思います。また、タバコのことを悪く言うと、吸っている身近な人(たとえば喫煙者である父親や、友達のお父さんなど)に悪いんじゃないか、つまり、子供たちがその人のことを軽蔑するようになるんじゃないかと心配して、子供たちにタバコのことを話しにくくなることもあるかと思います。しかし、喫煙者の人たちも、体に悪いことはわかっているのです。やめられるものならやめたいと思っているのです(タバコをやめるくらいなら死んだ方がましだ、などと言う人も中にはいますが、本当の気持ちではないでしょう)。ですから、むしろタバコを吸う人が身近にいたら、その人とも一緒にタバコについて話し合い、禁煙のきっかけになるように、また、吸っている人はやめるのがいかに難しいかを子供たちに話してあげてほしいと思います。そして、好奇心旺盛な子供たちに、決して面白半分にタバコを勧めたりすることのないようにしてほしいと思います。

(2003年2月28日、上福岡市立福岡小学校学校保健委員会での発表より抜粋)

<参考文献>

  1. 子供たちにタバコの真実を 37万人の禁煙教育から、平間敬文著、かもがわ出版
  2. タバコはなぜやめられないか、宮里勝政著、岩波新書
  3. 禁煙セラピー、アレン・カー著、KKロングセラーズ

当院のホームページでも喫煙を取り上げたことがあります。こちらも参考にしてください。

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