携帯電話の発ガン性に関するWHOの報告
以前にもこのホームページで携帯電話と脳腫瘍の関係について紹介したことがあります(携帯電話と脳腫瘍?、携帯電話と脳腫瘍、第2弾、携帯電話と脳腫瘍のリスク、結論はまだ出ていないようで)。当時のデータでは、脳腫瘍の発生と携帯電話との関連に明らかな関係は認められないものの、可能性は否定できないので今後もデータの集積に注目したい、といった内容でした。
今回、WHO(世界保健機関)が携帯電話から発生する電磁波について、脳の悪性腫瘍の一種であるグリオーマの発生リスクを高める可能性があるということを発表しました。
現在、全世界では携帯電話の契約者は50億人も上るとみなされています。携帯電話から発生する電磁波の害について、これまでも様々な報告がなされていました。今回、フランスで開かれた、IARC(国際がん研究機関)の集まりの中で、14カ国の科学者の代表31人が集まり、この件について検討を行いました。その結果、携帯電話の電磁波の発がんリスクは、IARC分類の2Bに分類されるという結果でした。この分類というのはどういうものかというと、様々な物質の発がんリスクを分類したもので、以下のように分類されます。
グループ1:発ガン性あり=発ガン性が認められるもの。発がんのメカニズムも明らかなもの。例:アフラトキシン、放射線被ばく、アスベスト、喫煙など
グループ2:発ガン性がある可能性のあるもので、さらに2A、2Bに分けられます
2A=おそらく発ガン性があるもの。動物実験などでも発ガン性が示唆されているもの。例:
2B=もしかしたら発ガン性があるかもしれないもの。発ガン性に関した十分なデータや動物実験の結果はないが、その可能性が否定できないもの。
グループ3:発ガン性があるというには不十分なもの。
グループ4:発ガン性はおそらくないもの。
今回、携帯電話の電磁波はリスク2Bに分類されたわけですが、ほかに2Bに分類されるものとしては、コーヒー、排気ガスなどがあります。また、あくまでも脳腫瘍のリスクとの関連が示唆されたということであって、ほかのがん、たとえば、胃がんや肺がんのリスクまで高まるわけではありません。